大学界有志から 京都地裁民事三部裁判官への要望書
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京都大学井上事件(再任拒否)の経過報告

(3月31日の判決へ向けて)

今回の井上事件では、多くの教官・一般市民の皆様方から心暖まる ご支援を賜り、心より感謝いたしております。

昨年は、京都地方裁判所(京都地裁)宛の要望書へ、実に多くの方々 からご署名やメッセージをいただき、まことにありがとうございま した。

京都大学ではつい最近、尾池和夫先生が新しい総長になられ、“優 秀な研究者が大学に残っていられる仕組みさえあれば、基礎研究は ちゃんとできる。彼らに不必要な手出しをしないことが京大の伝統 です。”との見識ある発言をしておられます。今回の事件の真相を 解明し、大学の自治を取り戻し,京都大学の名誉を回復するために、 是非、御尽力願いたいと思います。

裁判の経過についてご報告いたします。

その後、京都地裁の御裁断により、先般(平成16年)2月18日 には井上教授に対する証人尋問が行われました。傍聴席は井上教授 のお人柄を慕う多くの患者さんを始めとして、関係者の方々、一般 の方々、メディアの方々などで満員になり、中に入れずに外で見守っ てくださった方々が多数に及びました。

一時間に及ぶ主尋問でついに井上事件の全貌が公にされました。す なわち、再生医科学研究所前所長の画策により不当・違法な再任拒 否が行われたその実態が、包み隠さず細部に至るまで、リアルタイ ムで明らかにされたのです。被告側は、大学の自治の名のもとに行 われた違法な実態・事実の呈示に対して、何の反論もできませんで した。さらに、被告側からの反対尋問は、質疑応答を含めて、被告 側に与えられた30分の時間の三分の一、わずか10分が費やされ ただけの短い時間でした。これは、井上教授には何の非も無いので、 被告側は何の質問をしてよいのかわからない、すなわち、まともな 質問を探すことができないのがその理由でした。その証拠に、次元 の低い、内容に乏しい質問ばかりがなされましたが、井上教授の、 何の曇りも無い正当な返答により被告側は一方的に圧倒され、誰が 見ても被告側の負けでした。

今回の井上教授の本人尋問で、流れが大きく変わりました。

傍聴席にお見えになられた方々は容易に事件の真相を理解すること ができ、“井上先生の勝利を確信した、”あるいは、“井上先生が 勝利しないといけない、”との強い気持ちを抱かれたようです。私 達も今回の尋問の結果、井上教授勝訴への確信を持つに至りました。

いよいよ判決の日がやってまいります。勝訴を信じて疑わない私達 にとっては、この日が本当に待ち遠しい日です。それは、3月31 日です。以下に詳細を示します。

判決;平成16年3月31日午後4時
    京都地方裁判所101号法廷

記者会見; 平成16年3月31日午後4時30分〜午後5時30分
      京都弁護士会館地下大ホール

なお、主尋問の最後に井上教授の陳述が認められ、井上教授による 陳述が行われましたので、その時の陳述書を添付いたします。

京都地方裁判所101号法廷は、京都地裁で最も広い法廷ですので、 是非、多くの方々にご参集いただきたいと存じます。大学の自治の 崩壊を防ぐために、そして、学問の自由を守るために、社会正義を 信じて敢然と立ち上がられた井上教授に対する暖かいご支援のほど を、今後ともに、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

        有志代表  京都大学名誉教授 村上陽太郎
              神戸大学法学研究科教授 阿部泰隆